大衆性 2006 4 2
休みの日に、売り場で、新製品を見かけると、
ある種の心配が起きます。
「これは、確かに、優れた商品であるけれど、大衆性があるのか」。
それが、心配になる時が、あります。
どんなに優れた商品でも、大衆性がなければ、売れません。
もし、売れなかった場合は、経営陣は、開発費用が頭痛の種となり、
技術者は、どんなに落胆することか。
しかし、それでも、大衆性がなければ、売れないでしょう。
この手の話は、以前、「ベストセラーの法則」という記事を書きました。
(下記の「ベストセラー 2004 9 5」という記事を参照)。
さて、前置きが長くなりましたが、
最近、また、日本の民主党が話題になっています。
民主党の落日は、昨年の衆議院選挙に始まったと思います。
あの時は、このサイトに、
「選挙とは、女性を口説くようなものだ。
感性に訴えるものが必要である」と書きました。
それなのに、民主党の演説を聞いていると、
まるで、学校の先生の授業を聞いているような印象を受けました。
学校の授業を聞いて、喜ぶのは、勉強のできる生徒だけです。
勉強のできる生徒は、全体の2割から3割程度です。
つまり、民主党の大敗を予感しました。
選挙では、小泉首相のように、
「郵政民営化すれば、外交問題も解決する」と絶叫し、
感性に訴えた方が、票が取れるのです。
その方が、印象に残るのです。
学校の授業のような演説を何回聴いても、何の印象も残りません。
民主党は、政策通の政治家が多かったと聞きましたが、
選挙に勝たなければ、何の意味もないのです。
どんなに優れた商品でも、大衆性がなければ、売れません。
ベストセラー bestseller 2004 9 5
本をベストセラーにするには、中学生レベルで書くこと。
これが、今の基本法則です。
なぜか。
それを説明しましょう。
ここに、有名な文学作品を紹介します。
「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る。」
(夏目漱石 「草枕」から)
この本は、私が高校2年生の時、夏休みの宿題だったのです。
暑い中で、大汗をかきながら、読んだ記憶があります。
今、この本は、売れていないでしょう。
書店に行ったら、この本は、小さな書店にはなく、
大きな書店でも、奥の方に、さびしく、目立たない場所においてありました。
日本を代表する作家で、しかも、代表的な作品が、
この有様では、日本は、とても文化国家とは言えません。
今、日本では、文学は死亡していると思います。
文学を書く作家は生きていると思いますが、
文学を読む読者は死んでいると思います。
いや、作家も怪しいのです。
売れる本にしたいから、
中学生レベルで、本を書いている感じがします。
これで、いいのでしょうか。
確かに、日本は技術立国です。
しかし、それでも文学は必要です。
いつの日か、本当の文学作品がベストセラーになる日が来ることを祈っています。
何世代にも渡って読み継がれるような文学作品が出てくることを祈ります。